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AIへの指示が劇的に変わる!プロンプトとは?基本の書き方とコツ

AIへの指示が劇的に変わる!プロンプトとは?基本の書き方とコツ

ChatGPTのような対話型AIや、Midjourneyのような画像生成AI。現在、これらの「生成AI」は私たちの仕事や学習、クリエイティブ活動に欠かせないツールとなりつつあります。しかし、「思ったような答えが返ってこない」「指示がうまく伝わらない」と感じている方も多いのではないでしょうか?その原因は、AIへの「指示の出し方」にあるかもしれません。AIに与える指示や質問のことを「プロンプト」と呼びますが、このプロンプトの質が、AIの回答の質を大きく左右するのです。

この記事では、「プロンプトって何?」という基本から、AIの能力を最大限に引き出すための効果的な書き方の原則、すぐに使えるコツ、そして具体的なNG例・OK例まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説していきます。

プロンプトとは?AIとの対話の「鍵」となる指示

まず、「プロンプト(Prompt)」とは何か、その基本的な意味から確認しましょう。プロンプトとは、AI(特に、文章や画像を生成する「生成AI」)に対して、ユーザーが与える指示や質問、入力テキストのことを指します。私たちがAIに何かをしてほしいとき、あるいは何かを尋ねたいときに、最初に入力する「お願い」や「問いかけ」がプロンプトです。

  • AIへの「命令書」や「依頼書」のようなもの
  • AIとの対話の「最初の言葉」
  • AIに特定のタスクを実行させるための「トリガー(引き金)」

このように考えると分かりやすいかもしれません。まるで、非常に有能だけれども、指示が具体的でないと動けないアシスタントに仕事をお願いするようなイメージです。あるいは、検索エンジンにキーワードを入力するのに似ていますが、プロンプトはより複雑な指示や、対話形式でのやり取りを可能にします。

このプロンプトがなぜ「鍵」と言われるほど重要なのでしょうか?それは、AIの回答の質(精度、関連性、創造性など)が、入力されるプロンプトの質に大きく依存するからです。コンピューターの世界には「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入力すれば、ゴミしか出てこない)」という言葉がありますが、これは生成AIにも当てはまります。曖昧で質の低いプロンプトを入力すれば、的外れで役に立たない回答が返ってくる可能性が高くなります。逆に、明確で質の高いプロンプトを与えることができれば、AIはその驚くべき能力を最大限に発揮し、期待以上の成果を出してくれるのです。文章作成、要約、翻訳、アイデア出し、画像生成、コード作成など、あらゆるAIの活用場面において、プロンプトはAIの性能を引き出すための出発点となります。

良いプロンプト5つの基本原則

では、どうすればAIに意図を正確に伝え、望む回答を引き出す「良いプロンプト」を作成できるのでしょうか?まずは、基本となる5つの原則を押さえましょう。これらを意識するだけで、プロンプトの質は格段に向上します。

  1. 原則1:明確さ と 具体性
    AIは文脈や行間を読むのが苦手です。何を、どのようにしてほしいのか、曖昧さを排除し、できるだけ具体的に記述しましょう。「~について教えて」のような漠然とした指示ではなく、「~のメリットを3つ、箇条書きで説明して」のように、求める内容や形式を明確にします。専門用語を使う場合は、必要に応じて簡単な説明を加えることも有効です。
    • 例:「AIについて」→「AIのビジネス活用におけるメリットとデメリットを、それぞれ3点ずつ挙げてください」
  2. 原則2:必要な背景情報(コンテキスト)を提供する
    AIはあなたが置かれている状況や、質問の背景を知りません。回答の精度を高めるために、必要な前提知識や文脈(コンテキスト)をプロンプトに含めましょう。誰に向けた文章なのか、どのような目的で情報が必要なのかなどを伝えることで、AIはより的確な回答を生成しやすくなります。
    • 例:「メールを書いて」→「昨日打ち合わせした田中部長(取引先)へのお礼メールを書いてください。来週の資料提出についても触れてください。」
  3. 原則3:AIに期待する役割(ペルソナ)とタスク(目的)を定義する
    AIに特定の専門家やキャラクターになりきってもらう(役割を与える)と、その役割に沿った視点や文体で回答してくれるようになります。また、「要約」「翻訳」「アイデア出し」「比較検討」「コード生成」など、具体的なタスク(目的)を明確に指示しましょう。
    • 例:「旅行プランを考えて」→「あなたは経験豊富な旅行コンサルタントです。家族4人(子供は小学生)で夏休みに楽しめる沖縄旅行の3泊4日プランを提案してください。予算は〇〇円です。」
  4. 原則4:出力形式(フォーマット)やトーン(文体)を指定する
    回答をどのような形式で出力してほしいか(例:箇条書き、表形式、マークダウン形式、Pythonコードなど)を指定すると、後で利用しやすくなります。また、文章のトーン(丁寧語、フレンドリー、ユーモラス、学術的など)を指定することも可能です。
    • 例:「比較して」→「A案とB案のメリット・デメリットを比較し、結果を表形式でまとめてください。口調はビジネス文書として適切な丁寧語でお願いします。」
  5. 原則5:制約条件(文字数、含める/含めない要素など)を設定する
    回答の長さ(〇〇字以内、〇段落で)、含めてほしいキーワード、逆に含めてほしくない要素などを具体的に指示することで、より意図に近い出力を得やすくなります。
    • 例:「ブログ記事を書いて」→「生成AIのリスクに関するブログ記事を800字程度で書いてください。ただし、専門用語は避け、中学生にも理解できるようにしてください。」

AIの性能を引き出す!すぐに使えるプロンプト作成のコツ7選

AIの性能を引き出す!すぐに使えるプロンプト作成のコツ7選

基本原則に加えて、さらにAIの能力を引き出すための実践的なコツを7つご紹介します。これらを組み合わせることで、より高度なプロンプト作成が可能になります。

  1. コツ1:簡単な指示から始め、対話しながら改善・深掘りする(反復的アプローチ)
    最初から完璧なプロンプトを作ろうとせず、まずは簡単な指示でAIに尋ねてみましょう。返ってきた回答を見て、「もう少し具体的に」「この視点が足りない」など、対話を通じてプロンプトを修正・追加していくことで、徐々に理想の回答に近づけていくことができます。AIとの「壁打ち」を繰り返すイメージです。
  2. コツ2:期待する回答の「例」をいくつか示す(Few-shotプロンプティング)
    AIにどのような形式や内容の回答を期待しているか、具体的な例をプロンプトに含めると、AIはそのパターンを学習し、より望ましい出力を生成しやすくなります。特に、特定のフォーマットで回答してほしい場合に有効です。
    • 例:「以下の形式で回答してください。質問:[質問文] 回答:[回答文] 例)質問:日本の首都は? 回答:東京です。 では、フランスの首都は?」
  3. コツ3:複雑なお願いは「分解」して段階的に指示する
    一度のプロンプトで多くの要素を含む複雑な指示を出すと、AIが混乱したり、指示の一部を見落としたりすることがあります。大きなタスクは小さなステップに分解し、一つずつ順番に指示していく方が、結果的に正確で質の高い回答を得やすくなります。
  4. コツ4:「ステップバイステップで考えてください」のように思考プロセスを促す
    特に論理的な思考や計算、複雑な推論が必要な場合に有効なテクニックです。プロンプトの最後に「ステップバイステップで考えてください (Let’s think step by step)」や「思考プロセスを記述してください」といった一文を加えると、AIが段階的に問題を解こうとし、結果的に回答の精度が向上することが知られています(Chain-of-Thoughtプロンプティング)。
  5. コツ5:様々な角度から「言い換え」て質問してみる
    同じ内容の質問でも、言葉遣いや表現、質問の角度を変えてみるだけで、AIの回答が変わることがあります。もし最初のプロンプトで良い回答が得られなくても、諦めずに別の言い方を試してみましょう。
  6. コツ6:否定的な指示より「肯定的な指示」を心がける
    AIは「〜しないでください」という否定的な指示よりも、「〜してください」という肯定的な指示の方が理解しやすい傾向があります。例えば、「専門用語を使わないで」よりも「平易な言葉で説明してください」の方が、意図が伝わりやすい場合があります。
  7. コツ7:効果的なプロンプトの「テンプレート」や「フレームワーク」を活用する
    毎回ゼロからプロンプトを考えるのが大変な場合は、よく使われるタスク(要約、ブレスト、翻訳など)に応じた定型文(テンプレート)や考え方の枠組み(フレームワーク)を活用するのも有効です。例えば、「役割(Role)」「目的(Objective)」「背景(Context)」「形式(Format)」の要素を必ず含める、といったフレームワークを意識するだけでも、プロンプトの質が変わります。

【比較で学ぶ】良いプロンプト vs 悪いプロンプト 具体例集

理論だけでなく、実際の例を見ることで、良いプロンプトと悪いプロンプトの違いがより明確になります。いくつかの場面で比較してみましょう。

場面1:新しいプロジェクトのアイデア出し

  • 悪いプロンプト例:新規事業のアイデアを考えて。
    • (これでは、分野もターゲットも何も分からず、AIは非常に漠然とした、ありきたりなアイデアしか出せません。)
  • 良いプロンプト例:あなたは経験豊富な新規事業コンサルタントです。当社の強みである「高齢者向け健康食品の開発ノウハウ」を活かして、今後市場拡大が見込める新しいヘルスケア関連のサービス事業アイデアを5つ提案してください。各アイデアについて、ターゲット顧客、提供価値、簡単な収益モデルを箇条書きで記述してください。
    • (役割、背景、目的、出力形式、制約条件が明確で、具体的で質の高いアイデアが期待できます。)

場面2:SNS投稿文の作成

  • 悪いプロンプト例:新商品の宣伝文を書いて。
    • (どの商品の、誰向けの、どんな雰囲気の宣伝文なのか全く分かりません。)
  • 良いプロンプト例:あなたはプロのSNSマーケターです。来週発売する当社新商品「潤いハンドクリーム(特徴:天然成分配合、ベタつかない)」の発売告知用Instagram投稿文を作成してください。ターゲットは20代~30代の働く女性です。親しみやすく、商品の魅力が伝わるような、絵文字😊✨も適度に含んだ文章で、150字程度でお願いします。ハッシュタグも5つ提案してください。
    • (役割、商品情報、ターゲット、目的、トーン、文字数、追加要素(ハッシュタグ)まで具体的に指示しています。)

場面3:プログラミングの質問

  • 悪いプロンプト例:このコード、エラーが出るんだけど。
    • (どのコードの、どんなエラーが、何をしている時に出るのか、情報が全く足りません。)
  • 良いプロンプト例:Pythonで以下のコードを実行した際に、〇〇というエラーメッセージ(Tracebackも記載)が表示されます。[問題のコードを貼り付け] このコードは、[コードの目的や機能] を実現しようとしています。エラーの原因と修正方法を教えてください。
    • (言語、エラー内容、コード、目的を具体的に示しており、AIは原因を特定しやすくなります。)

このように、少し具体的に、丁寧に指示を出すだけで、AIの回答の質は劇的に向上するのです。

AIの種類別!プロンプト作成のヒント

AIの種類別!プロンプト作成のヒント

一言で生成AIと言っても、得意なことや対話の仕方は様々です。ここでは、代表的なAIの種類別に、プロンプト作成の簡単なヒントをご紹介します。

  • テキスト生成AI(ChatGPT、Gemini、Claudeなど)向け
    • 基本原則とコツで紹介した内容が広く当てはまります。
    • 対話を通じて深掘りしていくのが得意なので、最初の回答が完璧でなくても、追加の質問や修正指示を繰り返すことが有効です。
    • 役割設定(ペルソナ)が特に効果的です。専門家になりきってもらうことで、質の高い回答を引き出しやすくなります。
    • 長文の生成や複雑な指示は、段階的に分解して依頼しましょう。
  • 画像生成AI(Midjourney、Stable Diffusion、DALL-E 3など)向け
    • プロンプトは主にキーワードの組み合わせで構成されます。
    • 具体的で描写的な言葉(名詞、形容詞)を多く使うのがコツです。「何を描くか」「どんな雰囲気か」「どんなスタイルか」を詳細に伝えます。
    • 画風やアーティスト名(例: 「ゴッホ風」「アニメスタイル」「写真のようにリアル」)を指定すると、イメージに近い画像を生成しやすくなります。
    • 除外したい要素を指示する「ネガティブプロンプト」(例: --no text テキストを除外)も重要です。
    • アスペクト比(縦横比)などのパラメータ指定も可能です。
  • コード生成AI(GitHub Copilotなど)向け
    • プログラミング言語を明確に指定します。
    • 作成したい機能や処理内容を具体的に、かつ簡潔に記述します。
    • 入力と期待される出力の例を示すと、AIの理解が深まります。
    • 既存のコードの文脈(前後のコード)を提供すると、より適切なコードを生成しやすくなります。
    • 生成されたコードが意図通りに動作するか、必ずテストすることが重要です。

利用するAIツールの特性を理解し、それに合わせたプロンプトを工夫することが、AIをより効果的に活用する鍵となります。

やってはいけない!プロンプト作成でよくある失敗と回避策

最後に、プロンプト作成時に陥りがちな失敗パターンとその回避策を知っておきましょう。これらを避けるだけでも、AIとのコミュニケーションはずっとスムーズになります。

  1. 失敗:指示が曖昧すぎる・抽象的すぎる
    • 「良い感じにして」「なんか面白いこと教えて」のような指示では、AIは何をすれば良いか分かりません。
    • 回避策: 5つの基本原則(特に「明確さ・具体性」)を意識し、何を・どうしてほしいのかを具体的に記述する。
  2. 失敗:必要な情報(文脈)を与えていない
    • AIはあなたの状況を知らないため、前提知識なしでは的外れな回答しかできません。
    • 回避策: 回答に必要な背景情報、目的、対象者などのコンテキストをプロンプトに含める。
  3. 失敗:一度に多くのこと・複雑すぎることを要求する
    • 長いプロンプトで複数のタスクを一度に指示すると、AIが混乱したり、一部の指示を無視したりすることがあります。
    • 回避策: 複雑なタスクは小さなステップに分解し、一つずつ依頼する。重要な指示は箇条書きにするなど、構造化して分かりやすく伝える。
  4. 失敗:AIの能力を過信し、結果を鵜呑みにする
    • AIは間違えることもあります(ハルシネーション)。特に事実確認が必要な情報や、重要な意思決定に関わる場面でAIの回答をそのまま信じるのは危険です。
    • 回避策: AIはあくまで「アシスタント」と捉え、最終的な判断は人間が行う。必ずファクトチェックや内容の検証を行う。
  5. 失敗:最初の回答で諦めてしまう(試行錯誤しない)
    • 一度で完璧な回答が得られなくても、それはプロンプトの改善のチャンスです。
    • 回避策: なぜ期待通りの回答にならなかったのかを考え、プロンプトを修正・言い換え・具体化するなど、試行錯誤を繰り返す(反復的な改善)。

これらの失敗パターンを意識し、回避策を実践することで、あなたはより「AI使いの達人」に近づくことができるでしょう。

まとめ:プロンプトの書き方をマスターし、AIを最強のパートナーに

この記事では、生成AIとの対話の鍵となる「プロンプト」について、その基本的な意味から、良いプロンプトを作成するための5つの原則、AIの性能を引き出す7つのコツ、具体的な比較例、AI種類別のヒント、そしてよくある失敗と回避策までを解説してきました。

生成AIは、私たちの知識創造や問題解決、クリエイティブ活動を力強くサポートしてくれる可能性を秘めています。しかし、その力を最大限に引き出すためには、私たちがAIに「的確な指示を出す能力=プロンプト作成能力」を身につけることが不可欠です。

この記事で紹介した原則やコツを参考に、ぜひあなたもプロンプトの書き方をマスターし、生成AIを日々の学習や仕事における「最強のパートナー」として活用していってください。

  • この記事を書いた人

田中諒

10年以上に渡りSEOを生業としてきました。2019年からフリーランスとして活動開始中。編集者・コンテンツディレクターとしても活動しており、多くのWeb媒体でコンテンツ制作に関わる。

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