「専門知識がなくても、驚くほど簡単にホームページが作れる」――そんな手軽さで人気のホームページ作成サービス「Jimdo(ジンドゥー)」。特に「とにかく早く、簡単に自分のサイトを持ちたい!」と考えている初心者の方にとっては、非常に魅力的な選択肢に見えるかもしれません。しかし、インターネットでは手放しで絶賛する声ばかりではなく、「デザインの自由度が低い」「SEOが心配」といった気になる意見も目にします。果たして、Jimdoは本当に「買い」なのでしょうか?
この記事では、Jimdoの基本的なサービス内容から、具体的なメリット(良い点)とデメリット(気になる点)、そして最終的にどのような人にJimdoが向いているのか(あるいは向いていないのか)を、現在の視点から詳しく解説していきます。
Contents
Jimdo(ジンドゥー)とは?AIビルダーとクリエイターの基本
まず、Jimdoがどのようなサービスなのか、基本的なところから確認しましょう。Jimdoは、ドイツで生まれた、世界中で利用されているクラウド型のホームページ作成サービスです。一番の特徴は、HTMLやCSSといったWeb制作の専門知識がなくても、誰でも簡単にウェブサイトを作成し、公開できる点にあります。
Jimdoには、主に2つの作成モード(プラン体系)があります。
- AIビルダー:
- こちらは「とにかく簡単・早く」サイトを作りたい、完全な初心者向けのモードです。
- いくつかの質問(サイトの目的、業種、好きな色など)に答えていくだけで、AIが自動的に最適なデザインや構成、初期コンテンツ(文章や画像)を提案し、ウェブサイトの土台をわずか数分で作成してくれます。
- 細かいデザイン調整の自由度は低いですが、手間を最小限に抑えたい場合に適しています。
- クリエイター:
- こちらは、もう少し自分でデザインや構成を調整したい方向けのモードです。
- 用意されたテンプレートを選び、「ブロック」と呼ばれるパーツ(テキスト、画像、ボタン、カラムなど)を組み合わせてページを編集していく、比較的オーソドックスなホームページ作成ツールに近い感覚です。
- AIビルダーよりはデザインの自由度がありますが、それでも専門的な知識は不要で、直感的に操作できるように設計されています。
どちらのモードも、「専門家でなくても、誰もが自分のウェブサイトを持てるようにする」というJimdoの思想に基づいて開発されています。また、日本法人もあり、日本語でのサポート体制が整っている点も、日本のユーザーにとっては安心材料の一つです。サーバーの契約や管理も不要な「オールインワン」サービスであることも、手軽に始められる理由となっています。
Jimdoを選ぶべきメリットとは?
では、多くのユーザーがJimdoを選び、満足している「良い点(メリット)」を具体的に見ていきましょう。
- メリット1:圧倒的な操作の「簡単さ」と公開までの「速さ」
これがJimdoの最大の強みでもあります。特にAIビルダーは、質問に答えるだけでサイトの原型が完成するため、パソコン操作に不慣れな方でも、ほとんど迷うことなくサイト作成を進められます。クリエイターモードも、ブロックを組み合わせる直感的な操作が中心です。「今日中に簡単なサイトを公開したい!」といったスピード感が求められる場面では、非常に頼りになるツールと言えるでしょう。 - メリット2:専門知識(HTML/CSS等)が一切不要
通常、本格的なWebサイトを作るには、HTMLやCSSといったマークアップ言語や、場合によってはプログラミングの知識が必要になります。しかしJimdoなら、これらの専門知識は一切不要です。見たまま編集できるエディタ(編集画面)で、テキストを入力したり、画像を挿入したりするだけでページが作れます。 - メリット3:スマホ表示に標準対応(レスポンシブデザイン)
今やWebサイトのアクセスの多くはスマートフォンからです。Jimdoで作成したサイトは、特別な設定をしなくても、自動的にスマートフォンやタブレットの画面サイズに合わせて表示が最適化される「レスポンシブデザイン」に対応しています。これは初心者にとって非常にありがたい機能です。 - メリット4:サーバー管理不要の「オールインワン」
ホームページを公開するには、通常、サーバー(データを置く場所)を別途契約し、設定・管理する必要があります。Jimdoは、ホームページ作成機能とサーバー機能がセットになっているため、ユーザーはサーバーのことを気にする必要がありません。セキュリティ対策やシステムのアップデートなどもJimdo側が行ってくれるため、運用・管理の手間が大幅に省けます。 - メリット5:比較的手頃な「料金プラン」(無料プランもあり)
Jimdoには無料プランが用意されており、「とりあえず試してみたい」「ごく簡単なサイトで十分」という場合には無料で使い始めることができます(ただし、広告表示や独自ドメイン不可などの制限あり)。本格的にビジネスで利用するための有料プランも、比較的手頃な価格帯から用意されています。制作会社に依頼する場合と比較すると、大幅にコストを抑えられる可能性があります。(最新の料金プランは公式サイトをご確認ください) - メリット6:基本的な「ネットショップ機能」も搭載
有料プランにはなりますが、商品を登録してオンラインで販売するためのネットショップ機能も用意されています。専門的なECサイト構築サービスほどの高機能ではありませんが、小規模なショップを手軽に始めたい場合には十分な機能を提供しています。(決済手数料等がかかる場合があるので要確認) - メリット7:安心の「日本語サポート」
Jimdoは日本法人もあり、管理画面やヘルプページが日本語に対応しているのはもちろん、日本語でのメールサポートなども提供されています(プランによる)。海外製のツールに不安を感じる方でも、比較的安心して利用できます。
これらのメリットから、特に「簡単さ」「手軽さ」「速さ」を重視するユーザーにとって、Jimdoは非常に魅力的な選択肢となっています。
Jimdoのデメリット・注意点
一方で、Jimdoには「おすすめしない」デメリットや、導入前に理解しておくべき注意点も存在します。これらを知らずに使い始めると、後で「思っていたのと違った…」となりかねません。
- デメリット1:デザインの「カスタマイズ性」の限界
「簡単さ」とのトレードオフになりますが、デザインの自由度は他のホームページ作成方法(特にWordPressやフルスクラッチ開発)と比較すると低いと言わざるを得ません。- AIビルダー: AIが提案したレイアウトや配色からの大幅な変更は困難です。用意されたパターンの中から選ぶ形に近くなります。
- クリエイター: ブロック編集である程度の調整は可能ですが、それでも配置の自由度や細かいデザイン調整(CSSの直接編集など)には制限があります。 「細部までこだわり抜いたオリジナルのデザインにしたい!」という要望に応えるのは難しい場合が多いでしょう。結果的に、他のJimdoサイトと似たようなデザインになりやすい、という側面もあります。
- デメリット2:高度な「SEO設定」の制約
タイトルタグやメタディスクリプション、代替テキスト(alt属性)といった基本的なSEO設定はJimdoでも可能です。しかし、より高度で技術的なSEO施策(例:構造化データの詳細なカスタマイズ、サーバー設定の最適化、表示速度の徹底的なチューニングなど)を行いたい場合、プラットフォームの制約から限界があります。SEOで非常に競争の激しい分野で上位表示を狙う場合や、専門的なSEOコンサルタントと連携して施策を行いたい場合には、物足りなさを感じる可能性があります。 - デメリット3:「ブログ機能」がシンプル
Jimdoにもブログ機能は搭載されていますが、WordPressのような高機能なブログプラットフォームと比較すると、機能はかなりシンプルです。例えば、カテゴリーやタグ付けの自由度、関連記事の表示、コメント機能のカスタマイズ、SEO関連のプラグイン連携などは限定的です。本格的なブログメディア運営や、コンテンツマーケティングの拠点として活用するには、機能不足を感じるかもしれません。 - デメリット4:複雑な機能追加や「拡張性」の限界
Jimdoが提供している機能や連携アプリ(外部サービス連携)でカバーできない、特殊な機能や複雑なシステム連携(例:独自の会員データベースとの連携、外部システムとのAPI連携など)を実装することは基本的に困難です。将来的にサイトを大幅に拡張したり、特殊なWebアプリケーションのような機能を組み込んだりする計画がある場合には、Jimdoは適していません。 - デメリット5:他プラットフォームへの「移行」が困難(ロックイン)
これはWixなど他のクラウド型ホームページ作成サービスにも共通するデメリットですが、Jimdoで作成したサイトを、後からWordPressなどの他のプラットフォームに移転することは、デザインや機能を維持したままでは基本的にできません。「将来はもっと自由にカスタマイズしたいからWordPressに移行しよう」と思っても、サイトを一から作り直す必要が出てきます。これは「プラットフォームロックイン」と呼ばれ、長期的な視点で見ると大きなリスクとなる可能性があります。
これらのデメリットを許容できるかどうかが、Jimdoを選ぶ上での重要な判断ポイントになります。
「おすすめな人」と「おすすめしない人」

これまでのメリット・デメリットを踏まえ、どのような人にJimdoがおすすめで、どのような人にはあまりおすすめできないのか、結論としてまとめてみましょう。
Jimdoがおすすめなケース
- Webサイト作成の知識・経験が全くない「完全な初心者」の方: 難しいことを考えずに、とにかく自分のサイトを持ってみたい、という第一歩として最適です。(特にAIビルダー)
- 「とにかく早く」「低コストで」シンプルなサイトを作りたい方: 名刺代わりのサイト、簡単な会社案内、イベント告知ページ、個人のポートフォリオなどを、時間をかけずに公開したい場合。
- パソコン操作自体にあまり慣れていない方: 直感的なインターフェースで、比較的負担なく操作できる可能性が高いです。
- サーバー管理などの技術的なことを一切気にせず、手軽に始めたい方: オールインワンのシンプルさを求める方。
- デザインに強いこだわりがなく、テンプレートである程度満足できる方: 細部までのカスタマイズよりも、早く形にすることを優先する方。
- 小規模なネットショップ(商品数が少ない)を試しに始めてみたい方: 複雑な機能は不要で、手軽にオンライン販売を始めたい場合。
Jimdoをおすすめしないケース
- オリジナリティの高い、細部までこだわったデザインを実現したい方: デザインの自由度を最優先するなら、他の選択肢(WordPress、STUDIO、Webflow、スクラッチ開発など)を検討すべきです。
- 本格的なSEO対策を行い、検索エンジンからの集客を最大化したい方: より高度なSEO設定やコンテンツマーケティングを行いたい場合は、WordPressなどが有利になることが多いです。
- 高機能なブログを運営したい、コンテンツマーケティングに注力したい方: 記事の管理・編集・分析機能などを重視するなら、ブログ機能に強みを持つプラットフォームが良いでしょう。
- 独自機能の実装や外部システムとの複雑な連携が必要なサイトを作りたい方: Webアプリケーション開発に近いような要件がある場合は、Jimdoでは対応できません。
- 将来的にサイトを大幅に拡張したり、他のプラットフォームへ移行したりする可能性を考えている方: プラットフォームロックインのリスクを避けたい場合は、WordPressなどのオープンなシステムを検討すべきです。
AIビルダーとクリエイターの使い分けとしては、上記の中でも「とにかく簡単さ最優先」ならAIビルダー、「少しは自分でレイアウトなどを調整したい」ならクリエイター、という選択になりますが、根本的なデメリット(カスタマイズ性、移行困難性など)は共通している点に注意が必要です。
まとめ:得手不得手を理解し、自分に合った選択をしよう
今回は、簡単なホームページ作成ツールとして人気の「Jimdo(ジンドゥー)」について、メリット、そしてデメリットや注意点を詳しく解説しました。
「簡単そうだから」という理由だけで飛びつくのではなく、Jimdoの良い点(メリット)と、気になる点(デメリット)の両方をしっかりと理解し、ご自身の状況や目的に本当に合っているかどうかを見極めることが、後悔しないホームページ作成ツール選びの最も重要なポイントです。
無料プランや短期間の試用で、まずは実際に触ってみるのも良いでしょう。この記事で得た知識を元に、ぜひあなたにとってベストな選択をしてください。