みなさん、最近よく耳にする「DX」という言葉。なんだか難しそうで、イマイチピンとこないという方も多いのではないでしょうか?この記事では、DXとは何なのか、なぜ今必要とされているのか、具体的にどんなことをするのかについて、できるだけわかりやすく説明していきます。
そもそもDXって何?
DXは「デジタルトランスフォーメーション」という言葉の略です。日本語に訳すと「デジタルによる変革」という意味になります。でも、これだけだとまだピンときませんよね。
もっと簡単に言うと、「デジタル技術を使って、今までのやり方や仕組みを、より良いものに変えていくこと」です。
たとえば、今までは紙の書類で管理していた情報をパソコンで管理するようにしたり、今まで人が手作業でやっていた仕事を自動化したり。でも、それだけではありません。デジタル技術を使って、まったく新しいサービスを生み出したり、働き方を変えたりすることも含まれます。
私たちの生活はこんなに変わった!
DXの必要性を理解するために、まず私たちの日常生活が、ここ10年でどれだけ変わったか見てみましょう。
買い物の仕方が変わった
10年前は、買い物と言えば実際に店に行くことが当たり前でした。でも今は、スマートフォンがあれば、電車の中でも、お風呂上がりでも、寝る前でも、好きな時に買い物ができます。
スーパーの食材だって、ネットで注文すれば翌日には自宅に届きます。コンビニでは、スマートフォンで支払いができるようになり、財布を持ち歩く必要もなくなってきました。
銀行での手続きが変わった
以前は、お金を振り込むために銀行に行って、順番待ちをして…というのが当たり前でした。今では、スマートフォンのアプリで、いつでもどこでも残高確認や振り込みができます。
コミュニケーションの方法が変わった
手紙や電話が主流だった時代から、今ではLINEやメールで瞬時にメッセージのやり取りができます。コロナ禍では、オンライン会議も当たり前になりました。
なぜ企業はDXに取り組まなければいけないの?
このように私たちの生活が大きく変化する中で、企業も変わらざるを得なくなっています。その理由を、具体的な例を交えながら見ていきましょう。
理由1:お客様の期待が変わってきた
スーパーマーケットを例に考えてみましょう。
昔のお客様の行動:
- お店に行って商品を選ぶ
- レジで現金を支払う
- 重い荷物を自分で持って帰る
今のお客様が求めるもの:
- スマートフォンで商品を選びたい
- キャッシュレス決済を使いたい
- 自宅に届けてほしい
このように、お客様が求めるサービスの形が大きく変わってきているため、企業も対応を迫られているのです。
理由2:人手不足を何とかしなければいけない
日本では少子高齢化が進み、多くの企業が人手不足に悩んでいます。以前は3人でやっていた仕事を2人でこなさなければいけない、というような状況が増えています。
そこで注目されているのが、デジタル技術を活用した業務の効率化です。
例えば、あるコンビニエンスストアでは:
- 商品棚にセンサーを付けて、自動で在庫を確認
- AIが過去の売れ行きから、最適な発注量を提案
- 発注作業が自動化され、店員の作業が大幅に減少
このように、デジタル技術を活用することで、少ない人数でも効率的に仕事ができるようになるのです。
理由3:競争に負けてしまう
デジタル技術を活用した新しいサービスを提供する企業が増えています。従来のやり方を続けているだけでは、競争に負けてしまう可能性があるのです。
タクシー業界を例に見てみましょう:
従来のタクシー会社:
- 電話で配車を受付
- 近くを走っているタクシーを探して手配
- 料金は現金のみ
新しいタクシーサービス:
- スマートフォンのアプリで簡単に配車
- GPSで最適なタクシーを自動で手配
- クレジットカードやスマホ決済に対応
- 事前に料金がわかる
このような違いが、お客様の選択に大きな影響を与えるようになっています。
DXで実際に何が変わるの?実例を見てみよう
DXに取り組むことで、実際にどんな変化が起きるのか、具体例を見てみましょう。
病院の例
ある病院では、以下のような変化がありました:
受付の変化:
- 従来:受付で診察券を出して、長時間待つ
- DX後:スマートフォンで事前に予約、待ち時間をアプリで確認
診察の変化:
- 従来:すべての診察を対面で実施
- DX後:軽い症状の場合はオンライン診療も可能に
薬の受け取り:
- 従来:病院の中の薬局で待って受け取る
- DX後:近所の薬局で受け取れる、または自宅に配送
この結果、患者さんの待ち時間が減り、病院スタッフの仕事も楽になりました。
飲食店の例
あるラーメン店チェーンでの変化:
注文方法:
- 従来:店員が注文を受けて厨房に伝える
- DX後:お客様がタッチパネルで直接注文、自動で厨房に伝わる
在庫管理:
- 従来:店員が目視で確認して発注
- DX後:システムが自動で在庫を管理し発注
サービスの幅:
- 従来:店内で食べるお客様のみ対応
- DX後:テイクアウトやデリバリーにも対応、アプリでの事前注文も可能
この結果、人手不足を解消しながら、売上も増やすことができました。
DXを進めるときの大切なポイント
「DXは必要だけど、どうやって進めればいいの?」という疑問に答えるため、重要なポイントを説明します。
ポイント1:目的をはっきりさせる
「みんながやっているから」という理由だけでDXに取り組んでも、うまくいきません。次のような具体的な目的を持つことが大切です:
- お客様により便利なサービスを提供したい
- 従業員の働き方を良くしたい
- 無駄な作業を減らしてコストを下げたい
ポイント2:少しずつ進める
一度にすべてを変えようとすると失敗しやすくなります。まずは小さな範囲で試して、うまくいったら徐々に広げていく方法が効果的です。
例えば:
- まず一部の部署や店舗で新しいシステムを試す
- 問題点を見つけて改善する
- うまくいったら他の部署や店舗にも広げていく
ポイント3:社員の理解と協力を得る
新しい仕組みを導入しても、使う人が理解していなければ意味がありません。
効果的な取り組みの例:
- 社員向けの勉強会を開く
- 若手社員がベテラン社員をサポートする
- うまくいった例を社内で共有する
まとめ:DXは避けて通れない道
ここまで見てきたように、DXは企業が生き残っていくために避けては通れない課題となっています。その理由は:
- お客様の求めるものが大きく変化している
- 人手不足への対応が必要
- 競争に勝つために必要
大切なのは、DXを単なるデジタル化と考えないことです。デジタル技術を使って、お客様により良いサービスを提供し、従業員がより働きやすい環境を作り、新しい価値を生み出していく。そういった視点で取り組むことが重要です。
一度にすべてを変えることはできませんが、目的をしっかりと定め、一歩ずつ着実に進めていけば、必ず成果につながっていきます。