「自分の会社やお店のホームページ、そろそろ作った方がいいのかな?」「個人で活動しているけど、ホームページって本当に必要?」―― ビジネスの規模や形態にかかわらず、多くの方が一度は考えることではないでしょうか。特にInstagramやX(旧Twitter)などのSNSで手軽に情報発信できるようになった今、「わざわざ費用と手間をかけてホームページを作る意味ってあるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、ホームページにはSNSだけでは得られない、独自のメリットがたくさんあります。もちろん、デメリットや注意点も存在します。
この記事では、ホームページを持つことのメリット・デメリットを客観的に比較し、費用感や代替手段にも触れながら、あなたが本当にホームページを作るべきかどうかを判断するための材料を分かりやすく提供します。
Contents
そもそもホームページ(Webサイト)とは?
まず、「ホームページ」(またはWebサイト)とは何か、その基本的な役割を確認しておきましょう。ホームページとは、インターネット上に存在する、あなた(会社、お店、個人)専用の「家」や「拠点」のようなものです。特定の住所(ドメイン名、例: example.com
)を持ち、そこにはあなたの好きな情報(会社概要、商品・サービス紹介、ブログ記事、お問い合わせ先など)を、好きなデザインで自由に掲載することができます。
SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)との大きな違いは、その「所有権」と「自由度」にあります。
- SNS: InstagramやFacebookなどは、あくまでプラットフォーム(大きなショッピングモールのようなもの)のスペースを借りて情報発信している状態です。デザインや機能には制限があり、プラットフォーム側の規約変更やアルゴリズムの影響を直接受けます。
- ホームページ: あなた自身が所有する「土地付き一戸建て」のようなものです。デザインも、掲載する情報も、機能も、基本的にはあなたの思い通りに、自由に構築・管理できます。
現在、SNSでの情報発信や顧客とのコミュニケーションが非常に重要になっていることは間違いありません。しかし、情報が流れていきやすく、断片的な情報提供になりがちなSNSに対し、ホームページは体系的で詳細な情報をストックし、いつでも見てもらえる「信頼性の基盤」としての役割を果たします。顧客や取引先が、あなたやあなたのビジネスについて詳しく知りたいと思ったとき、まず訪れる場所。それがホームページなのです。SNSで見かけて興味を持った人が、最終的に信頼できるかどうかを確認するためにホームページを訪れる、という流れも一般的です。
ホームページを持つ7つの大きなメリット
では、時間や費用をかけてホームページを持つことには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?主なメリットを7つご紹介します。
- メリット1:信頼性・ブランドイメージの向上
しっかりとしたホームページがあることは、「ちゃんとした会社・お店・活動である」という社会的信用に繋がります。特にBtoB(企業間取引)や、高額な商品・サービスを扱う場合、ホームページがないと顧客や取引先に不安を与えかねません。プロフェッショナルなデザインや充実した内容は、ブランドイメージを高める効果もあります。現在、ホームページの有無は信頼性を測る指標の一つと考える人が多いです。 - メリット2:24時間365日働く営業・情報発信ツール
ホームページは、あなたが寝ている間も、休日も、24時間365日、文句も言わずに働き続ける「サイレント営業マン」です。世界中のどこからでも、いつでも誰でもアクセスでき、あなたの会社概要、商品・サービスの詳細、価格、アクセス方法、よくある質問などを自動で提供してくれます。営業時間外の問い合わせ受付窓口としても機能します。 - メリット3:新規顧客の獲得(検索エンジンからの集客)
GoogleやBingなどの検索エンジンで、あなたの商品やサービス、あるいは関連するキーワードで検索している「今まさに情報を求めている潜在顧客」に、あなたのホームページを見つけてもらうことができます(SEO対策が前提)。これは、SNSだけではアプローチしにくい層への有効な集客手段となり、新たなビジネスチャンスを生み出します。 - メリット4:商品・サービスの魅力を深く伝えられる
SNSでは文字数制限やフォーマットの制約がありますが、ホームページなら情報量に制限はありません。写真や動画を豊富に使ったり、開発秘話やお客様の声を詳しく紹介したりするなど、商品やサービスの魅力を深く、多角的に伝えることができます。 - メリット5:ブランディングの強化(独自の世界観の表現)
デザイン、色使い、文章のトーンなど、細部に至るまであなたのブランドイメージに合わせて自由に表現できます。SNSのような画一的なフォーマットではない、オリジナリティあふれる「あなただけの空間」を作り上げることで、他社との差別化を図り、ブランドへの愛着を深めることができます。 - メリット6:顧客との直接的な関係構築
お問い合わせフォーム、資料請求、メルマガ登録などを設置することで、見込み客や既存顧客の情報を直接獲得し、継続的なコミュニケーションを図る基盤が作れます。将来的には、オンラインショップ機能や予約システムなどを導入し、直接的な取引を行うことも可能です。 - メリット7:マーケティングデータの収集・分析による改善が可能
Google Analyticsなどのアクセス解析ツールを導入すれば、どのような人が、どこから来て、どのページを、どのくらい見ているのかといった詳細なデータを収集・分析できます。このデータに基づいて、ホームページの内容や構成、他のマーケティング施策を改善していくことで、より効果的なオンライン戦略を展開できます。
ホームページを持つ5つのデメリット
多くのメリットがある一方で、ホームページを持つことにはデメリットや注意すべき点も存在します。これらを理解しておくことが、後悔しないための第一歩です。
- デメリット1:制作費用(初期コスト)が発生する
ホームページを作るには、当然ながら費用がかかります。その額は、制作方法によって大きく異なります。- 自作(ホームページ作成ツール利用など): 月額数千円~1万円程度のツール利用料+自分の作業時間。初期費用は抑えられますが、手間がかかります。
- フリーランスに依頼: デザインや機能によりますが、数万円~数十万円程度が相場。
- 制作会社に依頼: ページの規模や機能、デザインの凝り具合によりますが、数十万円~数百万円以上かかることもあります。 どのようなホームページを作りたいかによって、必要な初期投資が変わってきます。
- デメリット2:維持費用が継続的にかかる(ランニングコスト)
ホームページは作って終わりではありません。公開し続けるためには、以下のような維持費用が継続的に発生します。- ドメイン代: ホームページの住所(
〇〇.com
など)の年間利用料。年間数千円程度が一般的。 - サーバー代: ホームページのデータを置いておく場所(サーバー)のレンタル料。月額数百円~数千円程度が一般的ですが、性能や容量によります。
- SSL証明書費用: 通信を暗号化するための証明書。近年はサーバー代に含まれる無料のものも多いですが、有料のものもあります(年間数千円~数万円)。
- 保守・管理費用: 制作会社などに保守管理を依頼する場合、月額費用が発生します。
- ドメイン代: ホームページの住所(
- デメリット3:コンテンツ作成・更新の手間と時間が必要
ホームページは、常に最新の情報が掲載されている状態に保つことが重要です。「お知らせ」が数年前で止まっていたり、古い情報が掲載されたままだったりすると、かえって信頼性を損ねてしまいます。新しい情報の追加、ブログの執筆、内容の修正など、定期的な更新作業には手間と時間がかかります。 - デメリット4:専門知識が必要になる場合がある
見栄えが良く、使いやすく、検索エンジンにも評価される(SEOに強い)ホームページを作るには、ある程度のWebデザイン、ユーザビリティ(使いやすさ)、コンテンツライティング、SEO、そしてセキュリティに関する知識が求められることがあります。特に自作する場合や、高度なカスタマイズをしたい場合には、学習コストがかかったり、専門家の助けが必要になったりします。 - デメリット5:作っただけではアクセスは増えない(集客活動が必要)
立派なホームページを作っても、その存在を知ってもらわなければ誰も訪れてくれません。「公開すれば自然に人が集まる」ということはまずありません。検索エンジンで上位表示されるためのSEO対策、SNSでの告知、オンライン広告の出稿、名刺やチラシでのURL案内など、ホームページへの集客活動が別途必要になります。
デメリットを軽減する方法と代替手段の比較

ホームページを持つことのデメリットを理解した上で、「やっぱりハードルが高いかも…」と感じた方もいるかもしれません。しかし、デメリットを軽減する方法や、他の手段との比較も知っておきましょう。
デメリットを軽減する方法
- コストを抑えたい場合:
- ホームページ作成ツール(SaaS型)の活用: Wix、Jimdo、ペライチ、STUDIOなど、専門知識がなくても比較的簡単に、低コスト(月額数千円程度~)でデザイン性の高いサイトが作れるサービスを利用する。ただし、機能やデザインの自由度には制限がある場合も。
- WordPressの活用: 無料のソフトウェアですが、自由度が高く、豊富なデザインテンプレート(テーマ)や拡張機能(プラグイン)があります。ただし、サーバー・ドメインの契約やある程度の知識は必要。
- シンプルな構成からスタート: 最初から大規模なサイトを目指さず、まずは1ページだけのサイト(LP風)や、必要最低限のページ構成(会社概要、サービス紹介、お問い合わせ)で始め、必要に応じて後から拡張していく。
- 手間や時間をかけられない場合:
- 更新しやすい仕組みを選ぶ: ブログ機能など、自分で簡単に情報発信できる仕組みを取り入れる。
- 運用代行サービスの利用: コンテンツ作成や更新作業を外部に委託する(別途費用が発生)。
- 専門知識がない場合:
- 基本的な知識の学習: WebデザインやSEOの入門書、オンライン学習サービスなどを活用する。
- 信頼できる専門家への依頼: フリーランスや制作会社に依頼する場合は、実績やコミュニケーション能力をしっかり確認する。
代替手段(SNSや無料ブログ)との比較
- SNS(Instagram, X, Facebookなど):
- メリット: 無料で始められ、拡散力があり、ユーザーとの交流がしやすい。
- デメリット: 情報が流れやすく蓄積しにくい。デザインや機能の自由度が低い。プラットフォーム側の都合(規約変更、サービス終了リスク)に左右される。詳細な情報提供には不向き。信頼性の面でホームページに劣る場合がある。
- 無料ブログサービス(Amebaブログ, noteなど):
- メリット: 無料で始められ、文章中心の情報発信がしやすい。
- デメリット: デザインの自由度が低い。サービス提供側の広告が表示されることがある。独自ドメインが使えない場合がある(信頼性)。プラットフォーム依存。
最適なのは「組み合わせ」
多くの場合、ホームページとSNS(やブログ)は、どちらか一方を選ぶのではなく、それぞれの特性を活かして「連携・組み合わせる」のが最も効果的です。
- ホームページ: 信頼性の基盤、詳細情報の置き場所、お問い合わせ窓口、SEOによる検索流入の受け皿(=本拠地)
- SNS: 日々の情報発信、顧客との交流、ホームページへの誘導、イベント告知(=広報・交流拠点)
このように役割分担することで、それぞれのメリットを活かし、デメリットを補い合うことができます。
結局、ホームページは作るべき?判断するためのチェックポイント
メリット・デメリット、そして代替手段との比較を踏まえ、最終的にあなたがホームページを作るべきかどうかを判断するためのチェックポイントをいくつかご紹介します。
- あなたのビジネスや活動の「目的」は何ですか?
- 新規顧客を獲得したい? 既存顧客との関係を深めたい? 商品をオンラインで販売したい? 会社の信頼性を高めたい? 活動内容を詳しく伝えたい? まず、ホームページに何を期待するのか、その目的を明確にしましょう。
- ターゲットとする顧客・オーディエンスは誰ですか?
- あなたが情報を届けたい相手は、普段どのように情報を収集していますか? Web検索をよく利用する層であれば、ホームページの重要性は高まります。
- ホームページに必要な「機能」や「情報量」はどの程度ですか?
- 単なる連絡先紹介程度であればSNSでも十分かもしれません。しかし、詳細なサービス紹介、多数の商品リスト、ブログでの情報発信、予約システム、決済機能などが必要であれば、ホームページが適しています。
- 「信頼性」や「専門性」のアピールは重要ですか?
- 特にBtoBビジネス、士業、コンサルタント、医療関係など、信頼性が重視される分野では、しっかりとしたホームページがあることが、ビジネスチャンスに繋がりやすくなります。
- かけられる「予算」と「リソース(時間・人手)」はどのくらいありますか?
- 初期費用だけでなく、維持費用や更新の手間も考慮して、無理なく続けられる計画を立てられるか検討しましょう。
これらの点を自問自答し、「ホームページを持つことによるメリットが、デメリット(コストや手間)を上回る」と判断できるのであれば、作成を前向きに検討する価値は十分にあると言えるでしょう。逆に、目的が曖昧だったり、リソースが確保できなかったりする状況で無理に作っても、効果が出にくい可能性があります。
まとめ:メリット・デメリットを天秤にかけ、最適なオンライン戦略を選択しよう
今回は、ホームページ(Webサイト)を持つことのメリットとデメリット、そして作成すべきかどうかの判断基準について詳しく解説してきました。
SNSが普及した現代においても、ホームページは依然としてオンライン戦略の中心的な役割を担う可能性のある「自社の拠点」です。メリットとデメリットをしっかりと天秤にかけ、SNSなどの他のツールとの最適な役割分担も考えながら、あなたにとってベストなオンラインでの情報発信・コミュニケーション戦略を選択してください。この記事が、そのための判断材料となれば幸いです。